若葉君:貸借対照表と損益計算書を作って頂いているのですが、どんな点に注意して見ればいいのでしょうか?
先生:それでは、まず貸借対照表と損益計算書の説明をしながら確認しましょう。
貸借対照表
一定時点(決算日)の会社の財政状態を表しており、
会社の持つ財産(資産)と債務(負債)と会社の体力(純資産)で構成されています。
右側が「どのようにお金を集めたのか」を表し、左側が「どのようにお金を使ったのか」を見ることが出来ます。
借方 |
貸方 |
資産 |
流動資産(1年以内に現金化できるもの) |
負債 |
流動負債(1年以内に支払う負債) |
固定資産(一年以上保有するもの) |
固定負債(1年以後に支払わなければならない負債) |
純資産 |
資本と過去の利益の蓄積 |
貸借対照表から次の項目を確認する事ができます。
・自己資本比率(自己資本/総資本×100)
会社の財政状態の健全性を表す最も代表的な指標です。
この割合が高いほど経営の安全度が高いと判断できます。
50%以上が優良企業と言われる目安となります。
マイナスの場合は債務超過の状態であると判断できます。
・流動比率(流動資産/流動負債×100)
会社の短期的(1年以内)の支払能力がどの程度であるかを表す比率です。
この比率が高いと資金の流動性が高く、支払能力が高いと判断できます。
流動比率が100%以上であれば1年以内に手に入るキャッシュの方が出て行くキャッシュより大きいため経営の安全度が高いと判断できます。
150%以上が優良企業とされ、99%未満で資金繰りに難ありと思われる目安となります。
この計算にはいつ売れるか分からない在庫も含めて計算しています。
・当座比率(当座資産/流動負債×100)
流動資産の内、現金化しやすい資産のみ(現金預金、受取手形、売掛金、有価証券など)を集めて算出します。
棚卸資産(在庫)を除外して計算することで流動比率よりも厳しく短期の支払の安全性を見ることができます。
120%以上なら優良企業とされ、69%未満で資金繰りに難ありと思われる目安となります。
流動比率が高いのに当座比率が高くない場合は在庫が多いのではないかと判断する事ができます。
損益計算書
一定期間(事業年度)の経営成績を表します。
1年間で売上によってどれだけ稼ぎ(収入)があり、その稼ぎを生み出すためにどれだけのコストが掛かっていて、その結果儲け(利益)がどれだけあるかを見ることができます。
売上高 |
本業を軸に業務での収入全てを合計します。 |
売上原価 |
仕入などの費用 |
売上総利益(粗利) |
売上高-売上原価で算出される利益です。 |
販売費及び一般管理費(販管費) |
人件費や家賃などの経費です。 |
営業利益 |
売上総利益-販管費で算出され、営業活動の儲けを表します。 |
営業外収益 |
本業以外での収益のことです。(預金の利息、株の配当金など) |
営業外費用 |
本業以外での費用の事です。(借入金の利息や株の売却損など |
経常利益 |
営業利益+営業外収益-営業外費用で算出され、会社の経常的な活動での儲けを表します。 |
特別損益 |
固定資産(建物や土地など)の売却損益、有価証券の売却損益、災害損失などが計上されます。 |
税引前当期純利益 |
経常利益-特別損益で算出され、会社全体の儲けを表しています。 |
法人税等 |
会社が支払う法人税、事業税、住民税などです。 |
当期純利益 |
税引前当期純利益-法人税等で算出され、会社の手取りと言うべき儲けを表します。 |
貸借対照表では、現金の残高がいくらあるのか、支払う債務がどれくらいあるのかを把握する事が大切です。
損益計算書はその年度のものだけで無く、数年間を比較して見てみることで会社の実態が読み取れるようになります。