従業員を労働保険と社会保険に加入するには
2021.01.29 | oda
若葉君:開業するに当たって従業員を雇おうと思っているのですが、どんな手続きが必要になりますか。
先生:就業条件を記載した雇用契約を結ぶために就業規則を作成しておく必要があります。
税務署へ提出する届出や労働保険、社会保険の手続きを確認しましょう。
それぞれ提出先と期限が異なっているのがポイントです。
提出書類 | 提出先 | 期限 | |
給与を支払う事に なったとき |
給与支払事務所等の 開設・移転・廃止届出 |
所轄の税務署 | 給与を支払う事に なった日から1ヶ月以内 |
労災保険 | 労働保険関係成立届、労働 保険概算保険料申告書、謄本 |
管轄の 労働基準監督署 |
従業員を雇用してから10日以内 |
雇用保険 | 雇用保険適用事業所設置届 | 所轄の ハローワーク |
従業員を雇用してから10日以内 |
社会保険(健康保険・厚生年金保険) | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 |
所轄の 年金事務所 |
従業員を雇用してから5日以内 |
【給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出の提出】
ます従業員を雇うと給与を支払う事になりますので、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出」を給与を支払う事となった日から1ヶ月以内に所轄の税務署に提出します。
移転・廃止とあるように事務所を移転したり、廃業や休業など給与を支払わなくなったときにも提出が必要です。
従業員の給与から源泉所得税を天引きした際にその所得税を納付する方法を記した書類などが税務署から郵送されます。
【労働保険について】
労働保険とは労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険の総称で、従業員を一人でも雇用すると労働保険への加入が義務づけられます。
労災保険は正社員、パート、アルバイト問わず従業員が勤務中にけがや病気、死亡などした場合や通勤の途中でけがや死亡した場合の補償制度です。
管轄の労働基準監督署に労働保険関係成立届、労働保険概算保険料申告書、謄本を従業員を雇用してから10日以内に提出します。
これにより労働保険番号が交付されます。この番号は雇用保険の届出を提出する際に必要になります。
雇用保険は従業員が失業したときの再就職の支援を目的としています。
正社員だけで無く、パート・アルバイトでも31日以上引き続き雇用される見込みがあり、かつ1週間の労働時間が20時間以上ある場合は加入の対象になります。
従業員を雇ってから10日以内に所轄のハローワークに雇用保険適用事業所設置届を提出します。
次に従業員を雇用保険に加入するための雇用保険被保険者資格取得届を雇用関係を結んだ翌月の10日までにハローワークに提出します。
【社会保険について】
株式会社などの法人の事業所が加入します。
所轄の年金事務所に健康保険・厚生年金保険新規適用届を提出します。
その後従業員の健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届を提出して従業員を加入します。
従業員の世帯全員の住民票、年金手帳(配偶者がいる場合は配偶者の年金手帳)が必要になりますので確認しておきましょう。
若葉君:なんだか多くて混乱しちゃいますね。提出先を間違えない様に注意しないといけませんね。
先生:雇用保険や社会保険は従業員ごとに資格取得の届出も必要になりますので、雇用するときに必要な書類が不足しないよう予め確認しておく事が重要です。
以前、「開業するときに必要な提出書類は?」で取り上げた書類と併せて、従業員を雇用する予定がある場合はこれらの書類も一緒に用意して提出しましょう。
【開業するときに必要な提出書類は?】